理事長・理事ご挨拶

代表理事  連 健夫(むらじ たけお)

日本における建築やまちづくりの状況は、高度成長社会から低成長社会への変遷、更にはコンパクトシティや都市をたたむという議論がある中で、益々、多様化、複雑化、高度化しています。これは成熟社会へ進んでいるという解釈もありますが、仕組みや制度がこれに追い着いておらず、様々な問題を生み出している状況とも言えます。

特に、良質な建築、美しい街づくり、といった定性的な概念は弱く、条件さえ満たせば建築可能な中、様々な混乱が生じています。またWEB社会の中で雑多な情報が得られる中で、不安による建築トラブルも増大しています。

この状況を解決するためには、専門家によるセカンドオピニョン、アドバイスと共に、建築士や建築家の専門性の質を客観的に担保する資格や、良質や美しいといった定性的判断を取り入れる協議調整という仕組みを設けることが求められます。空き家空き地は全国的問題であり、その解決に必要な仕組づくりや専門家資格は大切です。

この一般社団法人、建築まちづくり適正支援機構は、建築トラブルを未然に防ぎ、解決すると共に、良質な建築を生み出し、美しい街づくりの中で、気持ちよく生活ができる社会を作ることを目的としています。このために成熟社会において必要とされる第三者性を担保すると共に、専門家の研鑽活動を進めていきます。

プロフィール

登録建築家、港区まちづくりコンサルタント、港区景観アドバイザー、(有)連健夫建築研究室一級建築士事務所代表、日本建築家協会まちづくり会議議長

1956年京都市生、東京都立大学大学院修了の後、建設会社10年勤務、1991年渡英、AAスクール留学、AA大学院優等学位取得の後、同校助手、在英日本大使館嘱託、1996年帰国、(有)連健夫建築研究室一級建築士事務所設立、建築設計、まちづくり活動の傍ら、首都大学東京、早稲田大学、芝浦工業大学非常勤講師等、教育にも関わっている。利用者参加のデザインを大切にし、コミュニケーションを大切にした建築、まちづくりを目指しています。

〇代表作品
荻窪家族レジデンス(2016年度グッドデザイン賞)、ルーテル学院大学新校舎(2006年度日本建築家協会優秀建築選)、はくおう幼稚園おもちゃライブラリー(2005年度栃木県建築景観賞)、田園都市生活シェアハウス(2019年度フェーズフリーデザイン住宅賞)等

〇著書
「心と対話する建築・家」(技法堂出版)、「イギリス色の街」(技法堂出版)、対話による建築まち育て」(共著、学生出版社)、「行く見る測る考える」(共著、鹿島出版会)、「フィールドワークの実践」(共著、朝倉書店)、「荻窪家族プロジェクト物語」(萬書房)等

〇資格
一級建築士、ADR調停人、一級建築施工管理技士、インテリアコーディネーター、既存住宅状況調査技術者、シニアライフ環境アドバイザー、認定まちづくり適正建築士、JIA修復塾修了者

専務理事  大谷 昭二(おおたに しょうじ)

(日本住宅性能検査協会理事長、日本不動産仲裁機構不動産ADRセンター長)

わが国が人口減少・超高齢社会を迎えている中で、まちづくりも大きな転換が求められています。都市経営コストの増大や環境負荷の増大など様々な弊害が生じ、次世代に残していくことが出来なくなってしまうおそれがあります。

建築まちづくり適正支援機構は、環境や景観と、共生する快適なまちの形成に資するため、環境とまちづくりに関する事業を推進し、都市機能の維持・増進および環境への負荷の低減に努め、もって「まち」の健全な発展と、住民の福祉の向上に寄与したいと思っています。

理事 最上 義(もがみただし)

1970年、石川県生まれ、横浜国立大学卒、各種不動産専門団体の教育開発や法務支援に携わり、多くの不動産・建築分野の専門団体の顧問を兼務する傍ら、法務大臣認証不動産ADR機関として(一社)不動産仲裁機構を設立し代表理事に就任、現在に至る。

 

 

理事  松 本  昭(まつもと あきら)

(一般財団法人ハウジングアンドコミュニティ財団専務理事、逗子市まちづくり審議会会長、八潮市まちづくり景観推進委員会会長他、博士(工学)、技術士(都市及び地方計画)、一級建築士)

現行の都市建築法制は、原則、ゾーニングという緩い鳥瞰的規制の下、敷地と前面道路の関係に基づく事前明示的基準で建物が計画される制度特性を有しています。その結果、地域固有の環境や景観、あるいは文化的価値等を損なう恐れのある計画であっても適法に建築されるとの課題があり、開発紛争が起きる場合もあります。

建築まちづくり適正支援機構は、地域の良識を建築計画に反映させることを目的に、いわゆる「法令適合・環境不適合」と懸念される建築計画を、事前かつ民主的手続等により協議調整し、よりよい計画にしていくことを目的にした活動組織です。多くの皆様との連携や協力が期待されます。

理事  松村 哲志(まつむら さとし)

(名古屋女子大学家政学部生活環境学科 講師、JIA 登録建築家、1級建築士、修士(工学)研究テーマ「まちづくりファシリテーター養成講座に関する研究」「建築設計者の実践的知識の形成に関する研究」「コーポラティブハウジングに関する研究」)

コーポラティブハウジングなどをはじめとした参加・協働の考え方に基づいた建築づくり、まちづくりが芽生えてから半世紀以上が過ぎようとしています。現在、地域の課題として「空き家・空き地」「耐震化・不燃化」「防災」「孤立・孤独」「少子高齢化」「福祉の充実」など様々な課題があり、住民・市民からの要望に応え、住民・市民とともに協働して建築づくり、まちづくりを行う重要性が高まっております。2000年代以降、地方創生、福祉における地域での共助の考え方からソフト側のプレイヤーとしてまちづくりを行う機運が高まっており、それに応えることのできるより多くの多様な専門家の必要性が増しているように感じております。特に若者をはじめとした多様な世代へ裾野を広げ、今、活躍されている皆様とともに、様々な「段階で」「立場で」「関わり方で」協働することができる人材を増やしていくことは今後のまちづくりにおいて大切なことであると考えております。

私は大学院時代、建築家神谷宏治氏の元でコーポラティブハウジングの研究を通じて参加のデザインを学び、その後、建築設計事務所を経て独立、JIA登録建築家として活動しております。また一方で専門学校の専任教員として建築のプロフェッショナル教育に従事し、実践的教育の研究を行っております。それらのバックグランドを生かし、参加協働の建築づくり、まちづくりを行うことのできる専門家育成に取り組み、その裾野を広げる活動を行うことでJCAABEの活動に貢献していければと考えております。

特別顧問 神田 順(かんだ じゅん)

(日本大学客員教授、東京大学名誉教授、建築基本法制定準備会会長、 東京地裁調停委員、 PHDエジンバラ)

JCAABEに期待する

我が国には、自分たちで美しいまちを作ろうとする意識が乏しかったように思う。今のように工業化が進んでいない時代は、家づくりの素材は、その土地で産する自然材によって作られ、結果的に統一的な景観が形成された。明治期に来日した多くの知識人が里の美しさに感動している。戦後、効率的に最低の基準でよいから建築を造ろうということでできた建築基準法が、私有財産権を強調したこともあって、敷地の中だけを考える建築がまちの景観を壊すようになっても、社会制度整備の方向への議論が熟していない。建築の基本理念を国民レベルで共有するには、法整備も必要であるが、建築主と近隣住民、小さなコミュニティ単位で、どのようにしたら美しいまちができ、住み易い環境が形成されるか、計画時点での十分な情報交換と専門家を交えたコミュニケーションが不可欠であると思う。連氏が中心となって新しい法人が誕生する。美しいまちが生活の豊かさを生むまでには時間がかかるかもしれないが、これからの活動に期待する。

特別顧問 野澤 康(のざわ やすし)

(工学院大学教授建築学部長、博士(工学)、技術士、府中市土地利用景観調整審査会会長、相模原市建築審査会会長)

「日本建築まちづくり適正支援機構」への期待
~市民まちづくりの強力なサポート役として~

わが国の市街地は、総じて安全で清潔です。それだけでも他国に比べて素晴らしいことですが、これからの時代には、さらに街並みの美しさ、住み心地の良さ、誰もが住みたくなる(住み続けたくなる)価値の創造などが求められます。

全国各地で、いわゆる「まちづくり条例」が制定され、市民中心のまちづくりを支援する制度インフラは整ってきています。しかし、市民中心と言っても、市民だけではまちづくりはうまくいきません。行政との協働、そして専門家による適切なサポートがあって、初めて良いまちづくり活動が展開できるのです。

新たに設立された「日本建築まちづくり適正支援機構」には、こうしたまちづくりを強力にサポートする専門家集団としての役割を大いに期待しています。これからの発展が大変楽しみです。

特別顧問 三井所 清典(みいしょ きよのり)

建築家・アルセッド建築研究所主宰、芝浦工業大学名誉教授、日本建築士会連合会名誉会長、

住宅、集合住宅、学校、美術館、医療施設の他、近年は庁舎建築等、中規模木造建築の設計とその普及推進に努めている。HOPE計画、街並環境整備、伝統的建築物群の保全整備等地域に根差した建築・まちづくり活動を続けている。

「私の建築家人生はまちづくりである」と言ってもよいかと考えています。住宅設計、公共建築、復興住宅など、様々なプロジェクトで地域に根ざすという思想のもとに、建築設計を通したまちづくり、あるいは、まちづくりとしての建築設計をしてきたように思います。建築はそもそも街の景観をつくり、街の歴史を形づくりものであり、街とは切っても切れない関係にあります。まちづくりは様々な方が関わります。その中で、それぞれの立場を理解し、協働することが求められます。そもそも建築家には、設備や構造設計など様々な専門家をまとめる調整能力があります。また地域の特徴を見出し、それを形として具体化することができるデザイン能力があります。これらを是非、まちづくりにも活かしてもらいたいと思います。この仕組みづくりを実践されているJCAABEの今後の活動を楽しみにしています。

特別顧問 市古 太郎(いちこ たろう)

(首都大学東京都市政策科学科 教授,博士(都市科学),東京都地域危険度測定調査委員会委員,東京都震災復興検討会議委員,東京消防庁火災予防審議会専門委員)

安全安心と建築まちづくり

1943年,東大建築に開設された都市計画講座初代助教授に就任した高山英華は,磯崎新との対談の中で「関東大震災の時から,戦災復興とか災害復興が,日本においては都市計画の一つのメインテーマだった」(都市住宅1976/4月号)と延べ,高山自身も江東再開発構想(1964)や建設省防災総プロ(1983)の主査として,都市防災計画の体系化に向けて,リーダシップを果たされました.言い換えれば,これは磯崎さんも指摘されていることですが,都市計画・まちづくりが必要とされてくる背後に常に「防災・復興があった」と言えましょう.

さらに東日本大震災以降,「事前復興まちづくり」が首都直下地震や南海トラフ沖地震対策として体系化されつつあります.つまり,災害後の「復興まちづくり」と災害前の被害軽減を目的とする「防災まちづくり」を体系的に組み立てようとする計画論が構築されつつあります.

もっと端的に言えば,「まちづくりを始める」ために「まちの防災力を高める」という投げかけは,一つの強力なきっかけになると思います.

防災復興に関する専門領域は多岐にわたりますが,それでも「建築」は,たとえば事前予防策としての耐震改修提案,また発災後の応急危険度調査など,中心的な役割があります.建築の専門性を武器としつつ,災害への不安に応え,防災力アップためのまちのプランづくりに貢献する,そんな建築家像が求められる場面はますます大きくなっているのでは,と感じています.

ご相談・お問い合わせ

一般社団法人日本建築まちづくり適正支援機構・事務局

〒103-0012
東京都中央区日本橋堀留町1-11-4日本橋吉泉第二ビル5階 (最寄駅:日比谷線小伝馬町出口3徒歩2分)

電話:03-3524-7224 FAX:03-5847-8236

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